私が体験した話です。
小学6年生の時のクラスはみんな仲が良く、
学校行事とは別にお泊り会やキャンプなどをしていました。
秋に校庭でのキャンプを予定していたのですが、大型の台風と重なってしまい、体育館でのお泊り会になったときのこと。
風も雨も強かったのですが、クラス全員が盛り上がっているところで恒例の肝試しが始まりました。
当初の予定では男女ペアで学校の周りを一周するコースだったのですが、急遽学校の校舎内を回ることになりました。
私はペアの男の子と2番目にスタートしました。
一階を歩いているときは特に問題なかったのですが、階段に差し掛かった時におかしなことに気が付いたのです。
雨と風の音に混じって、私達以外の足音が聞こえてくるのです。それも複数。
それは一緒に歩いている男の子も気が付いたようでした。
最初はクラスメイトが私たちを驚かそうとついてきたのかとも思いましたが、
聞こえてくる足音は普通の足音ではなく、兵隊の行進のような音なのです。
「どうする?」
と彼が小さい声で聞いてきました。
経験上、こういう時は振り向かない方がいいことが多いのです。
「振り向かない方がいいよ」
とだけ言って、少し急ぎ足で前へと進みました。
でも足音はだんだん増え、近づいているように聞こえます。
私は早歩きで前方だけを見てなるべく横など余計な方は視界に入れないよう努めましたが、彼は我慢が出来なかったようです。
ついに後ろを振り返ってしまいました。
そして、彼の方を見てしまった私も、それを視界に映してしまったのです。
そこには武士のような、鎧を着た人や戦時中の隊服を着た人たちが列をなして歩いていました。
特に何かを言うわけでもなく、また捕まえられることもなく、ただ私たちの後ろを行進していました。
見た瞬間、私たちは体育館に向けて走りました。
彼らは追いかけては来ませんでしたし、そのあとにスタートした他の子たちも彼らを見ることはなかったようです。
私の通っていた学校は、函館の五稜郭近くにある学校でした。
戊辰戦争等で戦いの舞台になった場所でもあります。
彼らはその時に亡くなった人たちだったのでしょうか。