これは私が大学1年の時です。
友達になった同じゼミの仲間で海に行くことにしました。
神奈川の海に行こうということと、
サザンオールスターズの曲が好きで湘南や茅ケ崎に行ってみよう
ということになりT君の車で男女合わせて6人で行きました。
車の渋滞や人で多かったですが、茅ケ崎や湘南の海は最高でした。
走る江ノ電もほのぼのしてよかったです。
見てるだけで。日差しも熱かったけど景色が良くて楽しめました。
夜遅くまで海で食事したり花火したりして帰ることになりました。
東京に向かって戻ろうとしたのですが、女性のMさんが、鎌倉に行ってみたいと言い出しました。
朝早く少しだけ寄ったのですが、人も多く鶴岡八幡宮によっただけでした。
Mさんのリクエストと「夜の神社や寺は人も少ないしよく見えるんじゃない」
と言ってきたので、特に誰も反対はありませんでした。
T君も特に疲れはないから大丈夫だと行ったので、藤沢市を過ぎ鎌倉へ入ったのです。
車で神社やお寺を回りました。
車も少なくスムーズに進みました。
夏でしたが夜はその日は涼しい日でした。
川端康成の記念館を過ぎたら、Mさんが
「小さい時に祖母が長谷寺に連れてってくれたの思い出した。できれば行きたい。」
と言いました。
私は眠くよく考えられないのでいいと返事。
T君達も「少しだけならOK]ということで長谷寺に行きました。
に着いたのが1時になるかならないかの時刻だったと思います。
車で近くに止めて、見て直ぐに帰ってくるとのことで全員車から降りました。
眠気と気分転換を兼ねておりました。
夜空は雲一つなく星が出て意外と澄み切った夜空でした。
寺の境内に行きましたが当然人はいません。
それぞれがゆっくりと静かに辺りを見回しながら歩きました。
静寂さがとても不気味でした。
夜の寺だからそうなんだろうなと思いました。
しばらく歩くと、たくさんのお地蔵さんが見えてきました。
正直数が多くドキッとして一瞬その場で止まってしまいました。
無数のお地蔵さんの間には結構な数の風車が刺さっていました。
風は全く吹いてなくて風車は回ってませんでした。
Mさんは最初は喜んでいましたが、次第に無言になっていました。
私は夜のお地蔵さんが不気味で早く帰りたいと眠気も醒めて心の中で願ってました。
「帰るかそろそろ。」とT君が言い出した時でした。
突然、Mさんが「うう」と小さな声で唸り始めたのです。
同じゼミの女性のEさんが、心配しMさんに駆け寄りました。
するとMさんは意識がなく、しかも白目で何かをその場で呟いていたのです。
それと同時に、風も吹いていないのに、風車が勢いよく回りだしたのです。
(え、風もないのになんで?!)と私達はびっくりしました。
私は何が起こったのかと思い風車や地蔵を見ました。
私はそこで一体の地蔵を見ました。顔が無表情の地蔵でした。最初見た時は。
ですが、風車が回ってから見た地蔵の顔が険しく泣いているような顔つきでした。
私は背筋が凍り付きました。
「も、もう戻るか。」T君は慌てたように催促し、車の所に戻ることになりました。
Mさんは女性たちに腕を抱えられて動き、私達はT君のワンボックスカーに向かいました。
車に近づいた瞬間、私は驚いてしまいました。
夜で涼しかったですが、特に寒くもないのに車のフロントガラスが何故か曇っている。
そこには数個の手の跡がついていたのです。
誰かのいたずらかと思いましたが誰も見回してもいません。
T君は青ざめて、車にエンジンをかけてデフロスターを付け、タオルで吹き、車で長谷寺を後にしました。
そのまま東京に直行でしたが、恐怖と疲れで横浜の泊まれる温泉施設に行き、
そこで風呂に入り仮眠して朝まで過ごしました。
私は体験した恐怖でなかなか寝付けず、朝になって睡眠が2時間ほどできました。
その後、飯を食べて休憩所で6人で話をしました。
T君は、地蔵の辺りで耳元で子供の声が聞こえて怖かったと言ってました。
私や他の人は地蔵の顔が怒っていたり、泣いていたり様々に見えたとのことでした。
その時意識のなかったMさんにその時のことを聞くと、
「覚えていない。でも、死んだおばあちゃんが私を呼び掛けていて振り向くと居て会って抱いてもらって幸せな夢を見た。」と言ってました。
その後東京に戻り解散。何も起こりませんでした。
ですが、あの日、長谷寺で見た地蔵さんの表情は今でも忘れられません。
何かを訴えていたのでしょうか?
夜の地蔵の間にある風車の数も多く、風もないのに勢いよく回るのは今になっても思い出したくありません。
風車が夜でも鮮明にはっきりわかり気味悪かったです。
その後になって知らされたのですが、心霊スポットや人でない何かを見たとか言う人が居ると聞き驚きました。
まさかそんな場所だったとは思いもしませんでした。
そんな長谷寺での怖い話でした。