白いワンピースの女性
自分がまだ大学生の頃の話です。
当時、大学は車通学禁止の為、
電車で通っていました。
本来ならば自宅からは高崎線が近いのですが、
大学は東武東上線沿線にあったので、
車で1時間くらいかけて東上線の森林公園駅まで通っていました。
そんな中、車で森林公園駅から
自宅に向かう途中で見かける女性の姿が気になりました。
白のワンピースを着た黒髪の女性。
彼女は毎日同じ場所、同じ服装で立ってました。
最初は待ち合わせか、誰かが迎えに来るのを待っているのかと思っていました。
ただ、何となく違和感。それもそのはず。
毎日違う時間に帰宅するのに毎日見かける。
やっぱりおかしい。
見えるのは自分だけ?
その頃、多少霊感があった自分はもしかしたらと思い、
帰宅時に友人を誘ってみました。
そしていつもの場所へ。
今日も彼女は立っていました。
友人に「さっきの女性の人毎日立っているんだけど…」と言うと、
「えっ?誰も見なかったよ」と返ってきました。
まぁ見落としもあると思いその時は流してしまったのですが、
別の日に違う友達を誘い、いつもの帰宅ルートに。
今度は見落としがないように
事前にある場所に白いワンピースを着た女性が立っているんだけど
ちゃんと見て欲しいと伝えておきました。
そしていつもの場所に。
自分にはハッキリと見えていたのですが
友人は誰もいなかったと言っていました。
家に帰りたい
やっぱり見えていたのは自分だけ。
彼女は恐らくこの世の人ではないと確信しました。
その頃は霊の姿を見るのは慣れていたので
正体がわかれば特に気にもしなかったのですが…。
その日はすっかり遅くなってしまい夜中0時をまわる頃でした。
いつもの場所を通りかかるとその日は姿が見えませんでした。
見ない日もあるんだな…と
そんなに気にも留めなかったのですが、
ふとバックミラーを見た瞬間、背筋が凍りつきました。
彼女が乗っていたのです。
そして聞こえるか聞こえないかくらいの声で
「家に帰りたい。家まで送って」
そう何度もつぶやいていました。
恐ろしくなった自分は急いで車を止め車から飛び出しました。
少し間をおいて車に戻ると彼女の姿はありませんでした。
その後、いつもの場所を通っても彼女の姿を見かけることはありませんでした。
もしかしたらあの時、家に帰れたのではなんて思ったりもします。
この話をしても誰も信用しません。
だって彼女を本当に見たのは自分しかいないのですから。
彼女が毎日立っていた場所は
「森林霊園」という墓地のところでした。
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