旅館の中庭にたつ不自然な塔(北海道の登別)

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旅館の中庭にたつ不自然な塔ホテル

北海道の登別に祖母、母、私達夫婦で旅行に行った時の話です。

父は仕事の都合で急遽行けなくなりましたが、

ベッドが苦手な祖母の為、こじんまりとした旅館を予約していました。

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お部屋は4人は一部屋で中庭が見える1階。

お部屋は清掃がきちんとされていて広々として、

4人で泊まるには広すぎる印象をうけました。

庭には色とりどりの草花が所狭しと咲き誇っていました。

そして庭の端に庭にそぐわない高い塔のようなものがたっていました。

祖母と母の喜んでいる顔を見て、

私達は「良いところだね、父も来れたら良かったのにね」と気にもとめませんでした。

後に恐怖体験することになるとは、その時は思いもしませんでした。

少し休んでさっそく温泉に入りにいきました。

ゆっくり温泉につかり旅の疲れを落としました。

お風呂上がりには北海道の海の幸をふんだんにつかった

美味しい夕御飯、お酒をいただき大満足でした。

部屋に戻ると布団が横並びに敷いてありました。

祖母が庭側、母、私、夫と並んでねることにし、

私と夫はもう少し飲むことにしました。

祖母の寝息が聞こえはじめ、母も寝たようだったので 私達も布団にはいりました。

枕に頭をつけ目を閉じると、ぐるぐるまわる感覚がして目を開けました。

飲み過ぎたのかな?ともう一度目を閉じると、

今度はぐるぐる回りながら下に引き込まれるような感覚がありました。

目を開けるとそれらの感覚はなくなり、酔っているからではない何か変だな…

とおもいはじめていました。

祖母、母、私は多少霊感というものがあるらしく、

今までも不思議な体験はありました。

そこで、祖母を見ると何も感じていないようでした。

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やはり飲みすぎたのかと、目を閉じました。

今度はぐるぐる回りながら落下していく感覚とぼんやり景色が見えてきました。

そこには塔と塔の窓から私を見ている和服をきた20才前後の綺麗な女性がいました。

はっ!っとして目を開けると、

髪を振り乱した恐ろしい形相をしたその女性が私をのぞきこんでいました。

恐怖で声も出せずにいるとその顔はどんどん近づいてきて来ました。

顔が目の前まで来たとき目をぎゅっと閉じました。

その女性がまだ、私の顔をのぞきこんでいる気配、

私は恐怖にたえながら「南無阿弥陀仏…」と心の中で唱えていました。

しばらく…

何時間にも感じた…

気配がふっとなくなり、恐る恐る目を開けると、

その女性はいなくなっていました。

いてもたってもいられず、悪いとおもいながら隣に寝ている母を起こしました。

なかなか起きてくれず、起こすのをあきらめかけた時、やっと母が目をあけました。

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「ごめんね…あのさ…」と私が話かけたら、

母は「助かった…金縛りで動けなかったの。苦しかった」と。

私は母に今おこったことを話ました。

同じようになるのではと恐怖を感じながら、また目を閉じました。

「今度は大丈夫だね」と母といい合いながら眠りにつきました。

翌朝、中居さんに塔のことを聞いてみました。

初めは困ったようにしていましたが、体験したことをはなしたら、

昔塔から身を投げた女性がいたこと、

その為に塔の前には石灯籠をたてていることを話してくれました。

石灯籠は草木に隠れていて、言われるまで気がつきませんでした。

私はその女性が塔から落ちていったのを疑似体験してしまったようです。

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