私が実際に体験した話なのですが、その夜、私はどうしようもなく疲れていました。
仕事を辞め、家では悩みがあり、逃げるように自宅から何キロも離れた街並みを歩いていました。
出かけたのは昼すぎでしょうか、それから何時間も歩き続け、疲れ果てたころに私は彦根城にたどりついていました。
彦根城は、滋賀県彦根市金亀町にある江戸時代に建てられたお城で観光スポットにもなっているところです。
空は真っ暗、しかし、彦根城のライトアップがあり、道も明るく、怖さを感じるような暗さはありませんでした。
あの出来事が起こるまでは。
疲れてふと立ち止まると、彦根城の周りの木々に、白いなにかがぶら下がっているのです。
それはレインコートのような感じで、寒い季節の夜だったせいか、
着てみようかな暖かいかもしれないと、フラフラと近づいてみました。
そこで私はギョッとします。
人だ!これは人だ!
白いものはレインコートではなく、ワンピースで、さらにそのワンピース姿の人は首をつっている女性なのです。
とんでもないものを見てしまった。
気が動転した私はその場から逃げ、彦根城の反対側で足を止めました。
そして見上げるとその女がまた木にぶら下がっているのです。
幽霊。そう感じました。なぜなら、あまりにも純白で、髪の毛の黒以外、肌、服、靴、すべてが真っ白なのです。
恐怖で動けずにいると、後ろ、横、いろんな角度から気配を感じます。
いっぱい居る!?
私は気づくと首つり幽霊に囲まれていました。
首つり幽霊はただ揺れています。
逃げなくてはいけないそう思って私はその場から逃げ出しました。
逃げている道の木々にも手かせをかけられた真っ白な人がずらっと並んでいました。
わけもわからず、逃げようにもどこの場所に行っても白い人はいました。
結局、私は白い人達と一晩中過ごし、次の朝家に帰りました。
それが心霊体験だったのか、疲れによる幻覚なのか、なにもわかりません。
お城というものをカッコよく思ったり、ほれぼれしたりする感覚もあるかもしれません。
ですが、お城があるということは、戦乱があったということ、
お城というものには、もう少し畏怖を覚えてもいいのかもしれません。