これは先日、私は早いお歳暮を学生時代の時から付き合いのある後輩のH君の所に持って行った時に聞いた話です。
数年前、H君は結婚しました。
春に挙式し、新婚旅行は奥さんが飛行機が苦手ということもあり、国内旅行に切り替えました。
関東から関西まで約10日間の旅でした。
関西の大阪からスタートし、ラストは東京ディズニーというプランだったそうです。
USJや大阪城、名古屋城等を巡り、体を癒やすため箱根に来たそうです。
箱根は奥さんが以前ご家族と泊まったという温泉の宿泊施設の予定でした。
しかし、泊まる宿が工事やトラブルで生憎その日は予約不可。
代わりにその宿がロープウェイの近くの宿を紹介してくれてその宿に車で向かったそうです。
H君と奥さんは疲れを癒すため夕方に宿に入りました。
H君は宿に入った途端背筋に寒気と嫌な感覚が一瞬したそうです。
人もそれなりにいて、特に雰囲気も悪くなく仲居さんに部屋に通されたそうです。
部屋も綺麗で景色も良く、玄関で感じた感覚はなくH君はすっかり忘れました。
食事も温泉も問題なく、夜になり奥さんと話し、疲れも出てきたので就寝しました。
寝たのは23時頃だったそうです。
二人とも前日静岡でだいぶ遊んだ疲れもあったので奥さんが先に寝息を立てていたそうです。
(疲れたんだな)とH君は思いながらもうとうとし眠りの世界に突入しました…
しかし、2時間くらいたった頃です。
「う~、う~、」という人のうめき声のような音がH君の耳に聞こえてきました。
何だろうと思い、H君は目を覚まして開けました。
すると部屋が何故か霧のように白く、煙が漂っているかのように部屋中が充満してました。
冬のような寒さだったそうです。
見えるのは隣の奥さんだけで後は周りはよく見えません。
H君達は煙草を喫いませんし、家事でも起こったのかと思いました。
しかし、何かが燃えているような匂いもしませんでした。
H君は起き上がり、電気をつけようとしました。
が、首から下が全く動きませんでした。
全身が痺れていて、体を動かせません。
金縛りのような状態でした。
すると髪の短い女性がH君の布団の上に立っていました。
無表情で覗いていたそうです。
その女性の後ろには中年の髭を生やした男性らしき姿が暗かったのですが見えたそうです。
無表情で不気味で叫ぼうとH君はしましたが、声も出ません。
胸も苦しく、体も動かせない。
(やばい、なんかヤバい!)
H君はこの状態から脱したいため、体を何とか動かしバタバタしました。
が駄目でした。
どうなるんだろうと頭の中がパニックでした。
すると、パッと電気が点きました。
すると部屋中が明るくなりました。
煙や女性や男性の姿は全くありませんでした。
H君の体も金縛りが解けて起き上がれました。
起き上がると奥さんが電気をつけていた姿を見ました。
奥さんは非常に顔を青ざめていて、
「ね、ねえ。な、何か変なことなかった?」とHさんに聞いてきました。
Hさんは起こったことを正直に奥さんに話しました。
「やっぱり…」奥さんはHさんに言いました。
寝ていたら、「やめろ。」という声で目覚めた奥さんが見ると、髭の男性が凄い形相で自分の布団の上に立っていたそうです。
奥さんも首から下が動かせず、Hさんの方を見たら、Hさんの布団の上に髪の短い女性の姿が見え怖くなったそうです。
力を振り絞り、金縛りが解けて電気のスイッチをつけたそうです。
二人ともその話に呆然とし、部屋中の電気を点けて朝まで過ごしたそうです。
怖くて眠気が醒めたそうです。
朝食を直ぐに済ませ、フロントで精算しました。
奥さんが、フロントの人に、
「昨日実は夜、部屋で変な事があったんです。
昔ここで人が死んだりなんか事件ありませんでしたか?」とズバリ聞きました。
するとフロントのスタッフの方は、
「あ…う…さぁ…」とか「わ、私は入ったばかりで聞いたことな、無いですね~、」
と目が泳いでいて動揺していたそうです。
H君と奥さんはこれ以上詮索しても無意味。
次の場所の横浜に行かねばならなかったので宿を出て車に向かいました。
車を出そうとすると、フロントで掃除をしていた地元のおばさんらしき人が窓ガラスを叩きました。
開けると、「あんた達、家に帰ったらお祓いはしといたほうがいいわよ。」
とそれだけ言い残して小走りに去っていきました。
H君達は何かを察して宿を後にしました。
その後、彼らは旅行は順調に終えました。
その後直ぐに近くの地元の大きな神社でしっかりお祓いしてもらったそうです。
H君から話を聞いて、彼らが見たのは何だったのかと思うと少しゾッとしました。
そんな怖い話でした。