引っ越し先にいた幽霊少女とオレンジのガーベラのちょっと怖い不思議な話

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私の姉は霊感がある。

よく病院や道端であそこに居る、肩が重いなどと言っている。

そんな私たちはとあるボロアパートに引っ越した。

その時、姉は「ここ、なんか居る。悪いものじゃないけど、何だろう…」と少し気味悪がっていました。

その時はまたか、とあまり気にも留めずに居たのですが、ある日の夕食の時、姉はうわっ、と驚いた後、確実に何かを見据えて話しだしました。

「あなた誰?…そう、ゆみちゃんか…ここにはいない方がいいよ、寺とか近くにあるから、成仏…そっか、探してるのか…はぐれたの?うん…うん…」と。

何がいるのかと言われれば誰もいないし何もありません。

そんな空間を、しっかりと見据えて話している姉は、いつもと違いました。

そして姉は母に、「母さん、こういう花ってガーベラかな?オレンジ色ってある?」とノートに花を描き、母に見せました。

母は「ガーベラだね、オレンジ色はあるけど、どうしたの…」と怖がっていました。

姉は花になど詳しくはなく、花の名前も見た目も分かるはずがないのです。

絵は上手いのですが、何も見ずにガーベラを描けるはずがないのです。

すると、姉は「ゆみちゃん、待ってて。ガーベラ探して持ってくるからね」というのです。

後に姉に話を聞くと小さな女の子の幽霊が話しかけてきたそうです。

その子は母親を探していて、母親のところへ行くにはその子が持っていた黄色の花の、オレンジ色バージョンが必要だったとか。

それがガーベラで、姉はその子の持つ花を描いたのだと…。

にわかに信じがたいのですが、母は後日、花屋でオレンジも入っているガーベラの花のセットを買ってきました。

それを花瓶に飾って数時間。

目を離した隙に、オレンジのガーベラだけが枯れていたのです。

気付いた私は慌てて姉の部屋へ向かうと、姉は、

「よかった、これで帰れるんだね。お母さんによろしくね。うん?いいんだよ、早くお行き」と笑って虚空を見据えて話していました。

そのまま手を振って、姉は私の方を向き、「ゆみちゃん、オレンジの花だけもらって行くってさ。これでお母さんに会えるって言って、今成仏したのかなんなのか、消えてったよ」と。

他の色のガーベラは一週間ほど咲き続けていましたが、オレンジのガーベラは数時間で枯れ、花を茎から落とし、その事を伝えようとした時に成仏した、というこの一連の話は、今でもたまに思い出しては不思議な気持ちになる話です。

自分の持つ花のオレンジ色を探して、その女の子…ゆみちゃんは、いつからこのボロアパートで成仏できずに花を探していたのだろう、と考えると、少しだけ胸が痛くなりました。