この話は私が20年ほど前、その頃の彼氏と付き合っていた頃に実際に体験した話です。
その彼とは付き合って半年くらいで、毎日のように会っていたのですが、車で長話をするのがいつものことでした。
たまにはラブホテルに行こうということになり、お金を2人ともあまり持っていなかったので、
安いホテルを探して行くことにしました。
携帯電話で探したそのラブホテルは、田舎でも街のほうに位置していて、
周りには民家やお店もたくさんあり、車で1分も行けば車の通りが多い国道に出るような場所に建っていました。
見た目もさしてボロい感じもせず、街中にもこういうラブホあるよね、という感じの・・・
よく山の中にある安っぽい怪しいホテルという感じではなかったです。
この見た目でこの安さならいいよねって思いながら、休憩3時間で入りました。
2人でいちゃついた後、お風呂に入ろうということになり、
お風呂場の前辺りで2人で衣服を脱いでいる時のことです。
『キーッガチャンッ』というドアが閉まる音が聞こえました。
結構近くで聞こえたので思わず「ここじゃないよね?」と言ってしまった私に、
「そんなはずないよ。ラブホテルだから聞こえても仕方ないんじゃない?」という彼。
不安が拭いきれませんでしたが、彼の言葉にそうだよねと無理やり納得して、お風呂場に向かいました。
そのお風呂場には一角に2人入れば満員という、小さな個室サウナが設置してありました。
ミストサウナではなく、木で作られたちゃんとしたサウナです。
せっかくあるのだからと、入ってみることにしましたが、
まずは身体を洗ってからだとなり、2人で洗っていました。
身体を洗っている最中、どこかで救急車の音が小さく聞こえ出しました。
「何処かで事故でもあったんかねー」なんて話しながら洗い終え、いよいよサウナに入りました。
サウナはとても気持ちよく、2人でしばらく話していました。
今思えはすごくおかしいのですが、2人でサウナに入っているときも救急車の音が聞こえていました。
さきに彼がサウナから出ることになり、私は少し1人でサウナの中にいました。
身体を拭いている彼が、サウナの小窓から覗いています。
私は無邪気に笑いかけたりなんかしながら・・・
その後時間となり、部屋を後にしました。
ラブホテルの駐車場で車に乗り込んだ後、彼の言葉に私はゾッとしたのです。
『君が1人でサウナに入っているときに、小窓に男の人の顔が写ってたんだよね・・・』
怖がりな私を気遣って、その場では言わないでいてくれたそうです。
救急車の音が小さくも大きくもならなかったのも、すごく不思議だったらしいです。
もう20年も前のことですので、そのホテルが今もあるかどうかわかりません。
そのラブホテルの名前も忘れてしまった今となっては、
なぜそんな事が起こったのか確かめようもありません。
これが私にとって一番の恐怖体験です。