これは私の姉のお話です。
うちの家系は幽霊とかそういうものには無縁なのですが、
姉だけは別で、過去に何度かいわゆる心霊現象のようなものを体験しています。
その姉からいくつか聞いた話のうち一つを紹介します。
祖母の通夜の日のことです。
祖母は糖尿からくる合併症で亡くなりました。
最後は病院に入院したっきりで、昔は良く一緒に遊んだりして大好きな祖母でしたが、
僕達姉弟は思春期ということもあり、面倒臭がってあまり会いには行きませんでした。
それだけに亡くなったと聞いた時はひどくショックを受け、特に姉はひどく落ち込んでいました。
通夜は次の日に、僕達の家で行われました。
家の中のどこもかしこも空気がどんよりとしていて、
家の中なのに居場所がないように感じたのを覚えています。
そんな中、姉の様子がどことなくおかしいことに気が付きました。
顔色は白く、何かに怯えているようでした。
どうかしたのかと聞くと、「トイレに入っていたらいきなり電気が消えた」と怯えていました。
僕は誰かが間違えて消したのだろうと思って、あまり気にしすぎると良くないよと慰めてその場は落ち着いたようでした。
しばらくして、家の電話が鳴りました。
両親は祖母の知人への応対で忙しく、姉が代わりに電話に出ました。
僕は丁度その時隣にいたのですが、姉がやけに早く、
まるで電気が流れたかのように勢いよく電話を切り、
震えていたのが気になって「どうしたの?」と聞きました。
すると、「声が聞こえた」と蚊の鳴くような声で姉が言いました。
電話なのだから声が聞こえて当たり前だろうと僕が言うと、
「違う!…電話は繋がってないの…コール音の間で聞こえたの…ばぁばの声」