これからお話しする内容は私の子供の頃の心霊体験のお話になります。
私の友達のAちゃんの先祖の家系が官職との事で彼女も子供のころから霊感が強かったのです。
その為か彼女といるといつの間にか心霊体験が日常へと変わっていき怖いという思いよりも見えない世界に興味を持つようになりました。
これはそんな数ある体験の中の最初のお話です。
Aちゃんが霊感体質だと知った時の事です。
Aちゃんと同じく霊感のあるYちゃんが綿屋に泊まりに来ました。
日中は妹のNと私と友達二人とでトランプや鬼ごっこなどして遊びました。
そして最初の心霊体験の夜を迎えたのです。
二段ベッドの上と下で二人ずつになり眠っていた時、意識が浮上した私は夢と現実の間で何か騒いでいる声を聞きました。
目を覚まし意識が覚醒するとAちゃんとYちゃんとNがなにやら話しているではありませんか。
私だけ差し置いて三人で楽しくお話ししていたのかとちょっと不機嫌になりながら起き上がり声をかけました。
「如何したの?」
「Aちゃんが変なの」
私の問いかけに答えたのは妹で、よく見るとAちゃんはぶつぶつと何事か喋っており、Yちゃんが鋭い眼差しで彼女を見ていました。
「あははははっ!しね、しね、しね」
「Aちゃん?」
不意に奇声を上げて自分の首を締め出すAちゃんの様子に私は驚き眼を瞬きます。
「何がどうなってるの?」
「分かんないけど、起きたらYちゃんとAちゃんが喧嘩してて・・・」
「今すぐAちゃんの中から出ていけ!」
困惑した私が妹に再度問いかけると彼女もどうしたらよいのか分からないといった表情で答えました。
その時鋭く強い口調でYちゃんがAちゃんに向けて叫びました。
「しね、しね・・・しね」
「煩い。さっさとその子の中から出ていきな」
虚ろな眼差しで同じ言葉を繰り返し今度はYちゃんの首を絞めようと手を伸ばすAちゃん。
その手を掴み押さえつけながら彼女は強い口調で言います。
「T(私)とNは初めてだよね。Aちゃんは霊感が強くて時々こうやって霊が取り付くことがあるんだ」
「え?」 「幽霊が取り付くの」
驚く私とは対照的に瞳を輝かせ興味津々の妹。
今はそんな場合ではないというのにどこか楽しそうでした。
「Aちゃんを護っているやつ。そこにいるんでしょ。だったら早くこいつをAちゃんの中から追い出すの手伝って」
Yちゃんは空中に向かい叫ぶとAちゃんの体を押さえつけたまま目を閉じました。
「ぶつぶつぶつぶつ・・・」
「Yちゃん?」
目を開いた彼女は何か呪文のようなものを唱えていました。
急に雰囲気の変わったYちゃんに私は不思議に思いながらも、何が始まるんだろうと興味を持ちながらその様子を見守ります。
「あんたはここにいていい存在じゃない。この子から離れてね」
「っ・・・ぅうゔ」
優しくもきつい口調で彼女が行うとAちゃんがどこから絞り出しているのか人間では発生できない音で威嚇しました。
「離れるんだよ」 「ヴヴヴヴッ!」
虚ろだった彼女の瞳はみるみるつりあがりYちゃんを睨み付けます。
「仕方ない。Aちゃん一気にはがすよ。意識しっかり持っててね」 「ウアヴ!」
彼女は言うと手を放しAちゃんの背中に手を宛てました。
そしてそのまま押さえつけるように彼女を床に伏せさせます。
「ぶつぶつぶつぶつ・・・」 「ヴ・・・ウウッ・・・ヴウ・・・」
再び呪文を唱えながら右手で彼女の背中を撫ぜていくYちゃん。
最初は奇声を上げていたAちゃんも次第に声が小さくなり、最終的には無言になりその体制のまま目を閉ざしました。
「もう大丈夫だね」 「今の何?」
「Aちゃんを護ってる霊に除霊してもらったの」
何時もの雰囲気のYちゃんに戻ったところで私は声をかけました。
その言葉に彼女は疲れた表情で言うとAちゃんを見ます。
彼女は霊に取りつかれていたせいかはたまた疲れた為か暫くその場で目をつぶって寝ていました。
その後目を覚ましたAちゃんは意識では認識できていたけど、身体がゆうことを聞かなかったと話していました。
これが私の心霊体験の幕開けになるのでした。
また機会がありましたら別の体験も書きたいと思います。