これは私が学生時代に体験した出来事です。
私は学校から列車で10分くらいの場所に住んでいました。
町田付近といったところでしょうか。
私は、アパートに住んでいて駅まで5分くらいで着くのですが、そこには一際大きなマンションがありました。
そこを通るといつも朝、通勤、通学して行きかう人々にマンションの前からいつも罵声を浴びせる中年の男性がいました。
背は高いけど髪が薄く、いつも顔色が青白かったです。
「馬鹿野郎。急いで音立てて俺の前を通っていくんじゃねえ!通行料取るぞ!」とか
「貴様らが、愚民達が世の中を駄目にすんだよ!」と訳の分からない怒りの言葉を発してました。
私も通学途中で「良い身分だな。学生は。だが覚えとけ。卒業したらおしまいだ。社会人になったら雨あられの機関銃の鉛の弾が襲ってきて生きられん!」
等と言われたときはムカついたことがありましたが、関わってられないし我慢しました。
その男性は奇行が目立ち、マンション前でガスコンロを使ってラーメンを作って食べていたり、
かと思えば夏は上半身裸になって汗だくでダンベルで鍛えていたり正直不気味さと怖さがありました。
学校帰りに夕方食材を買って帰る時に通り過ぎたら、
「世界の崩壊が近い。皆で笑おうじゃないか!」と笑い転げていた時は怖かったです。
マンションの管理人さんがよく止めてました。
ですが、夏の終わりの日でした。
この日は授業もなく、まだ夏休みでした。
私はサークルの仲間と飲み会があり朝起きて10時頃アパートを出て駅に向かいました。
するとマンション前が警察のパトカーやギャラリーで人だかりができてました。
歩道の血の染みがすごかったです。
見るとブルーシートが掛けられていたりしてました。
ざわめく人々の近くに行くと死体は救急車に乗せられました。
乗る時に見た体の体系がいつも怒鳴っている中年の男性の物だとわかりました。
耳を傾けると屋上から飛び降り自殺したとの事でした。
私は時間も迫ってきたので複雑な気持ちでその場を後にしたのを覚えています。
その後私はサークルの仲間と飲み会をして時を楽しみました。
サークルの仲間のK君が私の家に泊まりたいと言ってきたのでOKしました。
丁度買ったゲームで遊びたいと言ってきたし、私もそのゲームに興味がありましたので、バイトも次の日無いので承知したのです。
二次会ではほとんどソフトドリンクでカラオケでしたので酔いはすっかり醒めていました。
夜22時頃。
私はK君と駅を降りてアパートに向かいました。
私とK君は話をしながら、マンションに近づいてきました。
夜で人もほとんど居なかったです。朝に自殺があったんだよなと思い返してました。
歩道には血もなく綺麗になってました。
マンションの前を通過した時に窓ガラスがあるのですが何気にふと自分の映る姿を見たのです。
私はその時驚いて何も言えませんでした。
私の右肩の方に何かが浮かんでいるというか写ってました。
それはいつも怒鳴っている中年男性の顔だったのです。
青白くしかめっ面でした。
私はそれが怖くて直ぐに見るのを止めて、ちょっと早足で振り返ることなく去りました。
その後アパートでK君とゲームしながら話していたら、彼が、「なあ、あのマンションってなんかあったん?」
私は驚きました。何でK君がそんな質問をするかと。
でも私は中年男性の事、今朝の自殺の事を話しました。
すると、「俺もお前と一緒で窓ガラス見たら頭が血だらけで首のみのおっさんが写っていて不気味だったよ!」
と聞かされて震えが止まりませんでした…。
特にその後は何もなかったです。
ですが、ある日マンションの管理人さんが玄関付近を掃除していたので、
たまに「おはようございます」と挨拶してくれることもあったので話してみました。
すると、自殺して中年男性は区役所勤めの方だったそうですが、仕事や人間関係やイジメで休職し、
ちょっと精神的にもきておかしくなってしまった人だったそうです。
管理人さんは外だけでなく、マンション内ではもっとひどかったと言ってました。
エレベーター内に氷を大量にばら撒き水浸しにしたり、マンションの通路でサッカーボールを蹴ったり、
燃えるごみや粗大ごみを避難する階段に捨てたりと奇行があったそうです。
自殺があってからその男性の姿を住人の方が何人か見かけたとのことでした。
それから卒業、地元に帰りもう行くことはないのですが、今でも中年の男性の姿はみえるのでしょうか?
行ってみたいとも思いませんが怖いです。
そんな私が体験した話でした。