私が実際に体験した話ですが、
高校生の頃に家族で旅行に出かけたときのことでした。
毎年、夏休みは必ずどこかへ旅行に出かけていました。
旅行の時は、父が運転して車ででかけることがほとんどで、
その時の旅行も車で行きました。
場所はうろ覚えですが、たしか熱海辺りの温泉にでかけたときのことです。
父は良く運転するので、長距離で運転することも慣れていました。
家は東京の北区にあり、最長では大阪まで車で行くことも何度かありました。
熱海への旅行は2泊3日でしたが、
行ったときは丁度お盆休みの真っ只中で、
宿泊先も、行きの道も帰りの道も混んでいました。
特に、帰りは連休も終わりかかっていたので、
とても長い渋滞に巻き込まれてしまいました。
長距離運転に慣れている父は、
渋滞に合うこともしばしばあったので、いつも通り運転をして、
夜遅くには自宅に着くんだろうなと思っていました。
渋滞の帰り道、海岸沿いでは花火大会が開催されていたらしく、
大きな花火が空に上がり、渋滞の中でも見ることができました。
時間は過ぎ、夜10時を過ぎた頃でしょうか。
渋滞は完全に停止し、全くと言っていいほど進みませんでした。
渋滞にも慣れてるとはいったものの、さすがの父もイライラし始め、
ついには高速を降りて下道を進むことにしました。
高速を降りたところで、カーナビの設定を有料道路回避にし、下道を走り始めました。
思ったよりも下道は空いていて、父も機嫌が戻ったらしく、スイスイと下道を走っていました。
すると、カーナビから、
「こっちの道を行ったほうが早く着きます」といった表示が画面上にあらわれ、
ルートを変更して進みました。
(もともとそういう機能がついている)
そのルートを行くと、今まで走っていた道よりも、
さらに空いていて、到着予定時間も30分ほど縮んでいました。
さらにご機嫌になった父は、鼻歌混じりに運転をしていましたが・・・
次第に周囲の様子がおかしいことに気が付きました。
車は明らかに帰り道とは違う方向を走っていて、
大通りからは離れ、山の方へ登っているような感覚でした。
山道は真っ直ぐな道でないことのほうが当たり前、と思っていたので、
最初は気にすることなく進んでいました。
しかし、、、30分くらい進んだときには、
ついにはカーナビに表示される道は、今私たちが走っている道しかありませんでした。
母は、引き返して元の道に戻ろうと言いましたが、
ここまで来たら戻るのも面倒だ、と父が言い、そのまま進んでしまいました。
すると突然、カーナビ上の道は消え、
予定到着時間も表示されなくなってしまいました。
道なき道を行く、といった感じでしょうか、
カーナビ上で道の表示が無くなって数分後、車は停止しました。
故障ではなく、これ以上進めないということで、父が止めたのでした。
車の正面を見ると、真っ暗闇の中に、
巨大な鳥居が建っているのが見えました。
鳥居の向こうは山への入り口なのか、
くぐってすぐのところに階段があり、
その階段は上へ続いているようでしたが、暗くて見えませんでした。
私たちは驚いて、声も上げずに、スムーズなUターンをして引き返しました。
30分ほど走ると元の道に戻ることができました。
あの巨大な鳥居は何の入り口だったのか。
ジブリの千と千尋の神隠しをも想像しましたが、
そんなファンタジーなことも考えられず、
実際にそんな状況に陥ると、何もできませんでした。
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