これは妹から聞いた話です。
昨年の秋、9月の終わりごろの事です。
妹は、昨年映画で大ヒットした「君の名は。」を友達達と見に行ってきました。
友達から君の名はの聖地巡りをしないかと提案があったそうです。
流石に飛騨は厳しいので東京のみの巡りという事になりました。
妹は丁度休みが9月末に取れるのでOKし、4人で観光を兼ねて東京に行きました。
君の名はの舞台で出てきた六本木や信濃町、四谷に行くことになりました。
お昼時に四谷の須賀神社に行きました。
ここは終わりに出てくる重要なシーンでした。
他の観光客や映画を見たファンで人もそれなりに居てスマホで撮影している人が多かったです。
階段を上り妹たちは撮影してました。
ですが、友達の一人のSさんが元気だったのに急に青ざめ脂汗を掻いて蹲りました。
Sさんは気分が悪いので先にホテルに戻ると帰っていきました。
残された妹たち3人は撮影して、近くで食事をし買い物や観光をしたそうです。
夕方、Sさんはホテルのベットで寝込んでいたため各自自由行動になりました。
他の友達は待ち合わせしていた彼氏さんとデートに行ったり、演劇を見に行ったりしたそうです。
妹は特に予定もなかったので、買い物も兼ねて新宿に行こうかと考えていた時にSさんからLINEが来ました。
「須賀神社、具合悪くなって撮影できなかったから、夜で良いので撮影代わりにしてきてくれない?」との内容でした。
妹はSさんのお願いを聞いてあげるために、四谷に向かいました。
四ツ谷駅を降りて夜の須賀神社へ向かいました。
昼間と違う景色で驚いてました。
須賀神社に近づくと昼間のようなファンや人も多くなくほとんど人が居なかったそうです。
階段を上がる時も人は居ませんでした。
時間は夜の20時になろうとしていました。
階段を上がり撮影しようとしていたら妹の耳に小声で何か聞こえてきました。
周りを見ると誰もいません。
それは女性のか細い声だったそうです。
おかしいなと思いながらもスマホで数枚撮影したそうです。
その時に妹の脇を髪の長い白い服を着た女性が通り過ぎて行った気がしたそうです。
すれ違った際はやたら冷たい冷気というか寒さを覚えたそうです。
秋の夜とはいえ、結構気温も高く暑かったのですがありえない寒気を覚えました。
妹は振り返りました。
ですが、誰も人一人いません。
階段下も見ましたが特に登ってくる人も居ませんでした。
妹は階段を下りて帰りました。
ですが、誰かに見られている。背中に鋭い視線を感じたそうです。
階段を降り切って、妹は振り返りました。
するとそこには縮れ毛の髪の長い、白いクラシックなワンピースを着た女性が居ました。
妹は視力が2.0と良い方ではっきり見えました。
しかし、その女性は足元が良く見えません。なかったそうです。
無表情で青白い顔の女性でした。
妹は顔を見るとニタリと笑ったそうです。
目が気味悪いほどに黒く、笑った歯がお歯黒の様に真っ黒でした。
妹は怖くなりダッシュしてその場を去りました。
ダッシュして明るい場所と人が出てきた場所に着いたらホッとしたそうです。
その後駅に行き、泊まるホテルに帰り、先に休んでいたSさんにスマホに写真を送ろうとしました。
Sさんはだいぶ回復して申し訳ないと謝っていました。
妹はスマホに夜の須賀神社の景色を撮影した写真を送ろうと確認しました。
すると最後に撮った写真の二枚が、右脇の部分が白い煙というか靄が半分掛かっていました。
妹は驚きで声を隠せませんでした。
Sさんは、「お昼に行った時に、急に気持ち悪くなって。何か女の人の声が耳元で聞こえてさ。
「いらっしゃい」と何度も聞いていたら気持ち悪くなってお腹が痛くなった。」
という話を聞き、妹は更に何も言えなくなりました。
妹は靄のかかった写真は削除し、Sさんにしっかりとれた物だけ送ったそうです。
特にその後何もありませんが、妹があの時に見た物は何だったのでしょうか?
先月、君の名はのDVDが発売になり、実家に寄った時に見た際に、妹からそんな話を聞いたのです。
「あの女の人の笑顔がこの世の物じゃなくて不気味だった。」と真顔で言ってました。
そんな妹が聖地巡りで体験した怖い話でした。