私の会社に後輩のK君という子がいます。
彼から聞いた話です。3年前、夏に彼は愛知県の名古屋に行くことになりました。
昔野球部で毎年、旅行を兼ねての同級会を開きます。
観光をしながらどこかで騒いで飲んでという事を毎年していたそうです。
その年は感じが名古屋に行きたいという事で決定し、K君は彼女のTさんを連れて名古屋に行きました。
昼間は観光で夕方から飲み会をしたそうです。
K君はTさんが名古屋のテレビ塔が夜景が綺麗と聞いたので行きたいといったので、K君は食べるほうに専念し対してお酒は飲んでいなかったので、次の二次会をパスしてTさんと共に名古屋のテレビ塔を目指しました。
栄駅を降り、パークを歩いてテレビ塔が見えてきました。
日本初の電波塔で中に入り二人は夜景を見ました。
名古屋の大通りやビルや町の明かりが煌びやかで感動したそうです。
行ったのは21時頃だったそうです。
あと1時間で閉まるので、人はそんなにいなくて空いていたそうです。
夏の暑さもあったので人も少なかったのでしょうか?
しばらく夜景を見ていてK君達はいつの間にか自分達しかいないことに気づきました。
貸切状態で内心喜んでTさんと話をしながら楽しんでました。
ふと、彼は気づきました。
自分達の居る一番端に人が居ることに気付いたのです。背の小さな女性だったそうです。
K君はまあスポットだし仕方ないかと思いながらも夜景とTさんとの話をしていました。
営業時間終了まであと20分になりました。
K君はそろそろ帰ろうかと考えてました。
急にTさんがそわそわというかそれまで明るく話していたのに無言でしゃべらなくなりました。
「どうかしたの?」と聞いても無言で頷くだけでした。顔の表情も暗く小さな声で帰ろうと言いました。
K君は具合が悪いのかと思い承知し帰ろうとした時でした。
一番端にいた背の小さな女性が目に入りました。
顔は良く見えませんでしたが、最初に見た時と同じで微動だにせず夜景を見ていました。
何か変だなと思いながら去ろうとした時でした。
その女性の両手の手首から下が全くありませんでした。
K君は寒気を覚えゾッとしました。
すると女性は顔をK君の方に向けました。
K君は恐怖しました。女性の目が真っ黒で、しかもニヤリと笑みを浮かべたのです。
K君はTさんの手を引っ張りその場を小走りで走り去ろうとしました。
その時K君はポケットからスマホを落としてしまいました。
K君は怖さで焦ってスマホを取りました。女性の方を見ずに。
するとK君の後ろから声が聞こえました。
「すいません。間もなく閉まります。あとあなた方だけなので…」スタッフの男性の方が声を掛けてきたのです。
K君はホッとしたのと同時に驚きました。
端に居た女性の方を見ましたが姿形は全くありませんでした。
テレビ塔を出て、Tさんはやっと口を開きました。
「私達が話しているときに一番端に小さな女の人いなかった?」と重く口を開きました。
K君は自分の見たことを正直に話しました。Tさんは途中で気付いたそうです。
その女性はやはり手が無くて、目が真っ黒で不気味な笑みを浮かべてTさんをずっと見ていたそうです。
K君は背筋から汗が止まらなかったそうです。K君達が見た女性は一体なんだったのでしょうか?
私もその話を聞いて背筋に寒気を覚えました。世の中考えられないことも起きるのかなと…。
そんなK君の恐怖体験でした。