私の女友達が20代初めの頃に体験したことです。
彼女(以下Aさん)は仲の良い友達グループ3人(すべて女性)と一緒に小旅行の予定を立てていました。
とは言え、当時は懐に余裕がなかったのでAさん達は宿泊可能な公園でミニキャンプをすることにしたそうです。
友達グループの1人の親がキャンピングカーを持っていたので、それを借りることが出来たのも決め手となりました。
場所は日本海側にある広大な歴史公園で、料金が無料だったことと、
適度に町に近くて必要な物の買い出しなどに便利だったことから選びました。
季節は秋で絶好の行楽日和、おまけに気心の知れたメンバーとの旅行とあって、みんな終始ハイテンションです。
はしゃぎながら近場のスーパーであれこれ買いこみ、公園に車を停めて落ち着いた頃にはすっかり暗くなっていたそうです。
簡単な夕食の後、お店で調達したお菓子やお酒を肴に大いに盛り上がり、気づけば深夜2時を回っていました。
いい加減で休まないと明日の観光に差し障るということで、Aさん達はテーブルを片付けて寝床の支度にとりかかりました。
彼女達のキャンピングカーはワンボックスのワゴンをベースに作られているのだそうですが、
天井が高くなっていて屋根の部分に引き出し型のベッドが備え付けられており、友人2人がそこに、
Aさんと残りの1人が椅子を倒してフラットにしたスペースに布団を敷いて寝る形になりました。
疲れと酔いもあってすんなりと眠りに落ちたAさんでしたが、ふと気配を感じて目を開けました。
朝方になっていたためか、うっすらと周りが見えるレベルの明るさだったそうです。
足元をみると誰かが車両後部にあるトイレ付近に立っているのがわかりました。
白っぽいガウンに長い黒髪でAさんはすぐに上のベッドで寝ている友人(以下Bさん)だとわかりました。
AさんはBさんがトイレに起きてきたのだなと思い、再び眠りに落ちました。
翌朝、朝食の準備中、Bさんが大あくびをしているのを他の友人がいじっているのを聞いたAさんが、
「Bちゃん、朝方トイレに起きたから眠いんだよ。お酒めっちゃ飲んでたもんね」と言うと、Bさんはきょとんとしてます。
「いや、私爆睡してたからトイレ行ってないんだけど」と返され、Aさんは血の気が引きました。
なぜなら他のメンバーは2人ともショートヘアとセミロングで、ロングヘアはBさん以外いなかったからです。
「いや、起きて来てたでしょ。そのガウン着てさ」と食い下がるAさんに「絶対起きてない、見間違いでしょ」と返すBさん。
変な空気になった時、別の友人が「それ、幽霊なんじゃ…」と漏らし、車内は軽いパニック状態に陥りました。
すると何やら思案していたキャンピングカーオーナーの娘(以下Cさん)が
「考えてみたらここ歴史公園だよね。古戦場跡地のそばなわけだし、お姫様の幽霊とかいても不思議じゃないよ」と呟きました。
Cさん曰く、長い黒髪は言わずもがな、ガウンに見えたのは白い着物だったのではないかと。
その意見に妙に納得したAさん達は、合戦があったとされる方角に向かって手を合わせてから早々に公園を立ったそうです。