これは私が数年前の事です。
学生時代の東海方面にいた友人、G君が群馬県に転勤になりました。
仕事も厳しく、心許す知り合いも居なく、ストレスの毎日で大変だったそうです。
他の友人から髪の毛が抜けたり大変だと聞いたので、休みを取って春の終わりに、G君に会いに行きました。
私の他に、E君という友達も一緒に行き、G君と会話したり美味しいものを食べたりしました。
お酒も飲もうかと思いましたが、G君の体調も考えて止めました。
夜になり、私とE君は高崎市内のホテルに宿を取りましたので後はG君と別れて宿に行くのみでした。
「もし、良かったらお礼にドライブしないか。
結構気に入っている所があるんで連れて行きたいんだ。」
と言われ私とE君はG君の車に乗りました。
乗ってしばらく走ると観音山という場所に着きました。
私達3人以外誰も居ませんでした。夜の夜景が綺麗でした。
駐車場を下りて見に行ったのですが、ふと一つの事に気づきました。
駐車場の一段下の場所に墓地がありました。
墓地というと古く決して綺麗ではない。掃除したとしても年月でコケや汚れもあります。
が、その場所はやたら綺麗なのです。綺麗すぎる墓地でした。
鮮やかで一瞬不気味さと背筋に寒気を覚えました。
私はなんだかその墓地が落ち着かなくて気持ち悪かったです。
あまり見ないようにし夜景を見入ってました。
見て車に戻ろうとすると、G君が
「この下に素敵で綺麗な墓地があるんだよ。見に行こう!」と言い出したのです。
私やE君は遠慮したのですが、G君の強引な誘いに手を引かれて少しだけ見に行くことにしました。
墓地は綺麗な新しい墓石も多く、花もありありえないほどの小奇麗さでした。
3分ほど見て車の所に戻ろうとしました。
私は振り向いた瞬間にポンと背中を叩かれたような感触を覚えました。
直ぐ振り向きましたが誰も居ません。
私は隣に歩いていたE君がイタズラしたのかなと思いましたが、
E君にそんなそぶりはありませんでした。
しかも、E君は額に脂汗を浮かべて、「ちょっと寒いし気持ち悪い…」とボソボソ言ってました。
車に乗って走って数分し、私達はG君の発する言葉に驚愕しました。
「いやー、白いお墓の所に居た、若い姉妹の女性達は可愛かったね。
にこやかに笑ってさ。」とG君は嬉しそうに言いました。
私と、E君は青ざめました。白いお墓はあったのですが、そこには人は居ませんでした。
女性の姿も見えませんでした。G君は一体何を見たのかと思うと背筋が凍りました。
怖くて仕方ありませんでした。
ホテルに速く着いてくれと何度も心の中で願いました。
ホテルに着いたら、すぐG君と別れ、お互い部屋に行き、ビールを飲んでE君と話しました。
「俺も女性なんて見えなかったぜ。俺達だけだろ。
あの場所に居たの。それに俺はあの墓に近づこうとしたら気分が悪く寒気が止まらなかったよ。」
とE君の言葉を聞いて何も言えませんでした。
その後何事もなく就寝し、E君と共に高崎を去りました。
私が、あの夜体験した事は。そして、G君が見た物は本当に人間の女性だったのでしょうか?
今となってはわかりません。
因みにG君ですが、その後仕事等のストレスでおかしくなり退職し、実家へ戻ったそうです。
他の友達がスマホに連絡しても番号が使われていないとアナウンスが流れ、
現在どうしているのか不明です。
私も掛けてみましたが同様でした。
とにかく観音山で見た墓地は綺麗すぎて鳥肌が立ちました。
そんな怖い話でした。