これは私が会社に入社して1年たった頃の話です。
だいぶ昔の事です。
当時、私は地元から離れた会社の支店で採用。
慣れない土地で1年かけて何とか仕事を覚えてきました。
その際に上司がゴルフ道具一式をタダでくれてゴルフをしないかと誘われました。
私は社会人として上司や他の方々と交流するツールとしてやってみることにしました。
打ちっぱなしで教えてもらい練習したりして楽しかったです。
初めての地元のゴルフ場でのコースも散々でしたが楽しめました。
次やる時は上手になりたいと思い仕事が終わり、時間のある日はひたすら練習に行きました。
丁度今頃の秋に、当時の上司Kさんから
「群馬県の方に知り合いがいるゴルフ場に行かないか?安くできるしどうだ?」
と誘われました。
私は自分の腕が上がったか確認したかったので休みも合ったので承諾しました。
まさか、行く先で怖い体験をするとは夢にも思いませんでした。
当日、上司のK課長の車に乗り、私、T主任、先輩のMさんと共に群馬県に明け方入りました。
群馬県の浅間山手前にある下仁田カントリークラブでゴルフをすることとなり、
初めて県外の地でゴルフというのが楽しみで新鮮。
群馬の自然あふれ空気の良い環境が気に入りました。
だいぶ当時割引も効いたり上司のおごりもあり、私はほとんどお金を出しませんでした。
スタートし、初デビューは散々な結果でしたが、
だいぶマシになり、T主任に勝ちいいプレイができ満足でした。
昼にはK課長と、T主任はお酒を飲みました。
私と先輩のMさんは運転要員の為にアルコールは飲酒運転になる為お茶やジュースで我慢でした。
大体13時くらいには全ホール回り風呂に入り帰るだけでした。
次の日は全員休みで後は帰るのみでした。
K課長が
「せっかくここまで来たんだ。浅間山少し見に行きたい。」
と言われM先輩が運転しました。
途中下仁田トンネルに入り向かいました。
私はトンネルに入った時に急に冬のような寒さを全身に感じました。
感じたことのない寒さと違和感があり、しかもトンネルが非常に不気味に見えました。
抜けて浅間山手前に着き駐車場に止めて山を見ました。
秋の紅葉が素晴らしく綺麗でした。
そんな私の脇にM先輩が居ましたが、先輩は何故か青ざめた顔で呆然と山を見てました。
私はいつも明るく冗談話して、よく遊びにつれて行ってくれるMさんが暗い表情をしているのをこの時初めてみました。
「どうかしました?先輩」と尋ねると、
「い、いや…な、何でもないよ…」と引き攣った笑顔をして車に戻っていきました。
私は上司達と何かあって嫌な思いをしたのかなと思いました。
しばらくいて、K課長も浅間山を堪能し、車に乗り帰りました。
私は助手席に乗り込み、上司達は後部座席。
運転手のMさんは顔色が青白かったです。
再び下仁田トンネルの手前に着ました。
先ほど来た時より何だか暗さというか不気味さが増した気がしました。
トンネルに入りました。
K課長のBMWが何だか急にスピードが遅く低下しました。
何だろうと思った瞬間、私は自分の左手首に冷たさを感じました。
(え、なんだ?)と思い見ようとした時に、私の耳元に若い女性の擦れた声が聞こえました。
確かに。「何処に行くの?」私はビビりました。
車内には男性4人しかいないのに女性は存在しないはずです。
私は手首を見ました。すると女性のか細い手だけが私の手首を握っていたのです。
と同時に車が止まりました。
「止まった!う、動かない!」Mさんは焦りながらキーを回しました。
対向車や後続車両は全くありません。
私の耳元に更に「遊びましょう…」と擦れた声が聞こえてもう怖くてたまりませんでした。
「掛かれ!エンジン!!」
Mさんが思いっきり叫びキーを回したら、再びエンジンが掛かり走りました。
Mさんはアクセルを踏んで急加速しトンネルを抜けました。
すると、手首の冷たさと女性の声が聞こえなくなりました。
ホッと私はしました。
が、ドアミラーを見て驚愕しました。
トンネルの出口付近にゆらゆら白い服を着て立っている女性が二人ほど見えたのです。
一人は片腕がなく、もう一人は足から下が見えませんでした。
私は見ないで前だけ見てました。
しばらくすると何事もなく普通の道になりました。
Mさんもさっきより落ち着いて運転してました。
後部座席のK課長とT主任はお酒と疲れで爆睡し、いびきかいてました。
高速に乗り、サービスエリアでトイレ休憩で停車しました。
外に出てMさんは、
「お前、あのトンネルで変なの見なかったか?」と真顔で聞いてきました。
私は怖かった体験を正直に話しました。
「やっぱりな…」とMさんは顔が青ざめてました。
Mさんは最初浅間山に行くためにトンネルに入った時、
何かに車のハンドルが取られて良く動かせなかった感触を覚えたそうです。
しかも、バックミラーにはずっと女性の姿らしきものが手招きをしているのが見えたそうです。
帰りのトンネルでは耳元で「休みましょう」とか
「帰らせない」といった声が間違えなく聞こえたそうです。
何か車のパワーもダウンした感じでブレーキの足を踏む部分が何か硬くなっていたような感触を覚えたそうです。
私はその話を聞いて少し小便を漏らしそうになってしまいました。
一応、サービスエリアのガソリンスタンドでエンジン系統やバッテリーを見てもらいました。
ですが、異常はありませんでした。
バッテリーはK課長が車検時に1か月前に変えて新しいものにしたばかり。
弱ってもいなくて不思議だとスタンドの店員が不思議がってました。
その後は無事に帰宅できました。
その後調べた事ですが、下仁田トンネルでは心霊体験や恐怖な思いをする場所ということがわかりゾッとしました。
私はその件依頼、正直県外のゴルフ場に行くのが怖くなりゴルフを止めました。
M先輩もゴルフは現在もしていますが、「県外でのゴルフは一切いかない。」と言うほどです。
その後私は移動した別支店で、取引先の社長さんとゴルフ話をした時に、
下仁田トンネルでの私が体験した以上の恐ろしい話を聞き、冷や汗が止まりませんでした。
そんな曰く付きの場所を知らずに通過していたと思ったらと考えたら膝の震えも止まりませんでした。
もう二度と行きたくありませんし、行かないです。
そんな下仁田トンネルでの怖い体験話でした。