今から25年前、夜中夫と一緒にドライブを楽しんでいた。
行く当てを決めず市内を周り隣の上山市まできた。
この近くに、心霊スポットがあると夫が言ってきたので、好奇心に負け行ってみることにした。
そこは、大通りから外れ一本の細い坂道になっている場所だった。
車はゆっくり上って行った。
途中小さな橋があり、夫の話だとこのまま上って行くと、今は閉鎖されている火葬場があるとのことだった。
車はUターンし、大通りに向かって下って行こうとした。
その時、夫がここの下には、滝があり刀が沢山地面に刺さっているから見に行こうと言ってきた。
怖いの半分、好奇心半分、でもやっぱり怖いと思い、車から降りたものの行くのをやめた。
近くに、さっきの小さな橋があったので、そこに座ることにした。
夫からは、意気地なしと言われたがどうしても行く気になれなかった。
少し沈黙があり、何か声が聞こえてきた。
私達のほかにも物好きがいるんだと最初は思っていたが、
よく聞いてみると女性の声で歌を歌っているように聞こえた。
更に耳を澄ませると、その声が大きくなったり、小さくなったりしていた。
こんな夜中に女性一人で、しかもさっき行くのをやめた滝のほうから歌は聞こえていた。
背筋がゾッとしたが、その歌声は、まるで舞を舞っているような感じに聞こえた。
夫もその声が聞こえたらしく、帰ろうと言ってきた。
内心自分も怖いんじゃないかと心の中でムッとした。
歩いて車に戻ると、そこだけ、木に覆われていたが街灯がついていて少しホッとした。
次の瞬間夫が早く車に乗れと強い口調で言ってきた。
私は訳も分からず、慌てて乗り込もうとした瞬間おかしな事にきずいた。
夫と私、二人だけのはずなのに、影は三人分。
しかも私の隣の影は、頭がない影だった。
あまりの恐怖に無言のまま車に乗り込んだ。
しばらくはミラーを見ず、二人とも無言のままでいた。
上山市を離れてやっとほっとし家路ついた。
そこは昔処刑場だったとの事だった。