G町の踏切は、草木が鬱蒼と生い茂った神社のそばにあります。
昼間は往来も多く、車や歩行者で賑わっています。
そんな忙しい踏切も、夜も深くなるとひっそりとし、ただ「カンカンカン…」という音だけが響き渡っています。
私も学生の時、通学路の途中にあるこの踏切を利用していました。
ここで自殺者が多いという噂も知らずに…。
なんでも最近になって近所のお年寄りに聞くと、
毎年毎年この踏切で命を落とす若者が多いので、
そのお祓いも兼ねてそばに神社が建てられたということでした。
しかし学生時代の私は学業も友人関係も順風満帆、自分が自殺するなんて夢にも思っていませんでした。
ある日、部活で帰りが遅くなって一人でその踏切を通過しようとした時のことです。
ちょうど電車が通りかかったので、「カンカン…」という音とともにバーが上から降りてきたのをぼんやり見つめていました。
すると、踏切の外で電車の通過を待っていたはずの私は、いつの間にか線路の上にいたのです。
「カンカン…」という音は次第に大きく響き、視界がぐにゃあ…と歪んでいくのを感じました。
汗びっしょりで気を取り戻すと、私はやはりその踏切のそばにしゃがみ込んでいました。
ここで亡くなったたくさんの若者の霊が、同じくらいの年の私を死者の世界に引きずり込もうとしたのでしょうか。
後日学校でこの話をすると、みんなが勘違いだと笑いました。
すると教室の隅にいたクラスで一番おとなしい子が、青ざめた顔で冷や汗をかいていました。
後日その子は何も語ることなく、その踏切で亡くなりました。