嫁いびりをしていた大伯母の末路
もう何十年も前の話になりますが、うちの身内には嫁いびりで有名なおばあさんがおりました。
隣の家は山の向こうにあるといった、大変な田舎であり、当時は交通手段も限られていたため、当時のお嫁さんは逃げ場もなくとても辛い思いをしていたそうです。
どんな風にいびるかというと、嫁が座っている横で「去ね、去ね」と言いながら箒で掃いていたのだとか。
「去ね」とはその土地の方言で「消えろ」「死ね」といった意味を持つものです。
そんな大伯母も、年と共に弱っていきましたが、最後までお嫁さんとは相いれなかったようです。
正直、お嫁さんとしてはほっとしていたかもしれません。
大伯母にもやがて死が訪れ、都内へと越していった親戚たちも大叔母の最後を見送るために集まりました。
嫁と分かれば誰でもいびるのか
なんせ山のなかですからホテルや旅館なんてものはありません。
幸い、この町ではほとんどが顔見知りで親戚も多いこともあり、遠方からきた人達はそれぞれの家へと泊まることになりました。
そして、大伯母の家には彼女の息子の兄弟夫婦が泊まったのですが、その夜のことです。
兄弟夫婦の寝ている部屋でザッザッと奇怪な音がしたかと思うと、奥さんは金縛りにあったそうです。
身動きがとれずなんとか目を開くと、そこには鬼の形相で睨みつけてくる大伯母が箒を持って立っていたそうな。
朝になりすぐにその話をお嫁さんに話すと、怒りに震えながら「嫁と分かれば誰でもいびるのか!」と口にしたそうです。
去ね婆が来るぞ!
この話はいまでも親族の間は有名なはなしで、夜眠らないこども等に「去ね婆がくるぞ!」などと言って語り継がれております。
仏間に飾ってある遺影は、本来なら笑顔であるものを使うであろうに、まったく笑顔がなく、彼女の歪んだ性格が表れているようでした。
死んでまで嫁をいびり倒そうとする程のことが大伯母にはあったのでしょうか。
戦争を経験している方だけに、その苦労は計り知れないものかもしれませんが、これから嫁いでくる方たちのためにも成仏して貰いたいですね。